東京高等裁判所 昭和48年(ネ)1018号 判決
右(一)認定の事実によると、本件土地は房次郎が賃借したものであるのに、その地上建物の登記は妻である被控訴人の名義を以てなされていたものであるから、賃借人が地上に、登記した建物を有するものとはいえず、房次郎の賃借権は第三者に対し対抗力を持つに由がなかったものというほかない。しかし、右(二)、(三)認定の事実からすると、耕作から本件土地を買い受けた新所有者タケは、房次郎の賃借権を承認していたものと認めるのが相当であるのみならず、タケが本件土地につき所有権取得登記をした昭和三三年七月一日以前の昭和三〇年一月二六日、被控訴人は右(四)認定のとおり、相続によりすでに右賃借権を承継取得し、しかも、その地上に自己名義の登記のある建物を有していたのであるから、いずれにしても、被控訴人は、本件土地の新所有者タケに対し、その有する本件土地の賃借権を対抗することができたものである。
(白石 川上 間中)